大切な蕎麦屋 2016年 9月 12日 関口 和雄 練馬区議ウェブ議員新聞

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大切な蕎麦屋 2016年 9月 12日

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関口 和雄

関口 和雄

練馬区議会自由民主党

練馬区議会自由民主党 副幹事長

2018-11-7

今から30年ほど前

駆け出しの議員だった私は
区政や議会、行政について語り合える
先輩や仲間たちと
とある蕎麦屋を訪れた

その時分は
とにかくうまい蕎麦と日本酒
そして
仲間たちとの語らいに夢中になったものだ

しかし数年前
その蕎麦屋を再び訪れて
変わらぬ蕎麦のうまさもさることながら
なにより「空気」がいい、
ということに気づいた

自分のペースで
酒を楽しむもよし
蕎麦を食べるもよし

その店の中に身を置くことが
とても心地よく
なにより一番いいのは
店主のお顔である

蕎麦の味の丸さ
店の空気のおだやかさそのままの
まなざしをされている

それ以来
月に一度は時間を作って
その店の
すべてを味わいに行くようになった

そうするうち
店主や奥様と言葉を交わすようになり

店主と私は同年であること
40年ほど前に
サラリーマンから蕎麦屋へ転身したこと
日本酒がとてもお好きであること
など

互いに何となく
相通ずるものを感じるようになった

以来
店を訪れるたび
自分の目指す蕎麦を打つ店主の姿に

私も負けずに
政治家としてさらに精進しなくては、と
おもいを新たにしてきたのである

2月
人づてに
かの蕎麦屋が
今年の9月いっぱいで店を閉めるのだと聞いた

何があったのだろうかと気をもみながら
先日ようやくお会いすることができた

変わらずおだやかなまなざしのご店主は

  蕎麦屋のほかに、まだやりたいことが、あるんです
  やるなら、今しかない、とおもって決めたことです
  何をするかは、まだ、ナイショです

そう言って、静かに
でも
ちょっといたずらっ子のように笑う

隣の奥様も

  蕎麦屋を始めたときと同じ
  やると言ったらやるんだから、仕方ないですね

と、微笑んでいる

この店の蕎麦だけでなく
この空気を
もう二度と味わえなくなるという
寂しさを感じながらも

同年のご店主の
今、また一から「やりたいこと」に
向かおうとする気力と姿勢を前に

負けられないぞ・・・

むくむく闘志が湧いてきた

ならば私は
これからも政治家ひと筋に全うするのだ、と


私は10期目の議員である

多選や年齢について
とやかく言う向きがあることも承知している

しかし
これまでの経験とともに
年齢を重ねた
今の私だから持てる視点、考えを活かすことこそ
私の役目だと信じている

政治、経済、社会保障、災害からの復興と
今の日本は
様々な課題を抱えている

政治家として
自分はそれらにどう立ち向かうのか

私の大切な蕎麦屋が
店を閉める9月までは

できる限り店を訪ね
蕎麦と空気を味わい
心に刻み
英気を養うことにしよう

大切な蕎麦屋