人とともに 心を尽くして
新型コロナウイルス感染症が拡大を始めてから、早いものでもう丸二年になる。
コロナ禍前の日常と今の生活とでは、色々と違っているが、
一番気になるのは、人と人が直接会ったり、触れたりすることが、
「避けるべきこと」とされていること。
そして、それを実現するための技術が、どんどん進んでいること。
最近最も驚いたのは、コンビニのレジで会計をする時、
タッチパネルで支払い方法を選び、支払う店舗が増えていることだ。
現金を入れると、おつりはレジが戻してくる。
「人の手」が最低限しか介さないのだ。
もちろん、こういった工夫は、感染拡大防止や、
人手不足の解消など、
社会が抱える問題に対応して生み出されたものであるから、
否定をするつもりはないが、
私にとっては、ちょっとさみしくて、
どうにもなじめないと感じている。
おなかの中の赤ちゃんが、
五感の中で最初に獲得するのは「触覚」
つまり人間の最も原初的な感覚は「触れる」ことなのだそうだ。
一、二歳の時期は特に大切だが大人になっても重要であることに変わりはなく、
医療の現場での緩和ケアなどでは、ベッドサイドに座って手を握り、
体をさするだけで、患者さんは安心するという。
コロナ禍における介護・医療施設の面会制限が、
患者とその家族に及ぼしたマイナスの側面は、
人と人とが、直に会うことの大切さを、
私たちに改めて認識させているように、おもう。
このところ、AI(人工知能)を利用する様々なサービスが行われるようになってきた。
AIの提示するいくつかの質問に答えると、
その人に合った手段や方法、好みに合った商品などが選び出される。
いわゆる窓口業務や接客業務のような、
人が、人の話を聞きながら、行ってきたサービスを、
AIが代わって行うわけだ。
例えば医療の場合、感染症が発生した地域でAI搭載ロボットが、
問診や検査、投薬や治療をすることは可能であろう。
しかし、高齢者医療や在宅医療などの分野では、
AIが得意とする、情報の集積とその分析だけでは、対応しきれないだろう。
なぜならそこに、「心」や「情」がないからである。
患者の個人差は大きく、本人とその家族への対応には、
きめ細かいコミュニケーションが欠かせないが、
それはまた、人と人とが直に接し、手に触れ、
心をつないでいく過程がなければ生まれないものであろう。
新しい年、コロナ禍が続こうとも、人とともにあること、
そして心を尽くすことを大切にしながら、日々を重ねていこうとおもう。
コロナ禍とAI(人工知能) AI コロナ禍
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