首都直下型地震への震災対策について
定例会議一般質問 かわすみ雅彦議員
練自由民主党を代表して一般質問をいたします。
まず、震災対策についてです。
わずか半年前の元日時に、能登半島地震が発生いたしました。ここ数ヶ月だけでも、都内、国内で大規模な地震が頻発しており、また、さらに海外においても台湾東部における震度6強の震災が発生しております。こうした状況下、防災に対する区民の意識は、以前にも増して高い関心を集めております。この背景には、頻発する地震の発生、特に私たちが住む東京において、内閣府は、首都直下型地震が今後30年で70%の確率で大震災が起きる可能性があると明確な具体的な数値を示した強いメッセージを発信したことがあります。
我が練馬区では、攻めの防災を相行動として、様々な震災対策を行ってきました。改めてその施策を評価いたします。一方、訓練に参加する方、避難拠点会議などに出席する方の高齢化が進むと同時に、これらの担い手の固定化、減少化が顕著になっております。現在、都の人口は約1,400万人、23区はその7割弱の980万人、防災時においてこれだけ多くの方々が、どのように避難あるいは在宅避難生活をするのかしっかりと考える必要があります。
人口密度といった観点では能登半島地震と練馬を比較してみますと、練馬区の人口密度は1平方キロメートルあたりおよそ15,500人、能登半島の人口密度は過疎地域外を含む単純計算ですが1平方キロメートルあたりでは約130人。つまり都並びに練馬区の人口密度は能登半島の約120倍であります。23区の中でも緑豊かな練馬区でさえ、この超過過密状態であることを大前提に対策を進めていくべきです。
発災時における避難拠点への受け入れニーズからの試算になりますが、区内98の小中学校の1校あたり700名、この数字を前提として計算すると区全体で約7万人。これは区の人口74万人のおよそ10分の1程度で、残り9割の67万人は広域避難も考慮しつつ、その多くは在宅避難との試算が成り立ちます。同時に練馬区は帰宅難民を受け入れることを考慮しますとさらに事態は深刻であります。私はこれらの事実を区として明確に区民に説明すべきと考えます。
練馬区の震災対策について
練馬区は原則在宅避難についての周知はされているものの、私が指摘する各学校の避難拠点会議、あるいは訓練において発災時の在宅避難に特化したパンフレットや訓練はありません。よって、これに特化した周知・啓発を行うことが何よりも重要であります。すでにNHK等でも、首都直下型地震をリアルに映像化した被害想定を放映しており、その中で都の想定震度が6強であることを明確に告知されております。
現在の避難拠点訓練は、都の震度6強が被害想定の大前提であること、また、避難拠点の収容能力の拡大、在宅避難のための備蓄品や防災グッズの準備啓発、さらに在宅避難時の情報提供、支援体制の整備、地域コミュニティを活用した支援ネットワークの構築、被害者に対する心理的サポートの強化などは、区が発行した災害に備えてにも明記されていることは大変素晴らしいことです。
これらをさらに活用し、周知徹底の上で在宅避難生活の準備が最も重要な一つであることを基礎自治体としてさらに強く発信すべきと考えますが、区の見解を伺います。
次に住宅耐震化の推進についてです。
在宅避難の実現には住宅の安全性の確保が不可欠です。区内の耐震性を満たさない旧耐震住宅の個数は令和2年度末の練馬区耐震改修促進計画策定時の最大震度6強の前提条件下では約26,000戸、区内の住宅個数約34万6,000戸に占める割合の耐震化率は92.4%と推計されております。この間、区は令和7年度末の目標耐震化率95%の達成に向けて、助成の拡充や建物所有者への勧奨など耐震化の促進に積極的に取り組んでいるとのことです。
こうした耐震化の促進について区では能登半島地震での建築物の倒壊の被害状況等を受け、耐震化助成の上限を引き上げるなど速報的にさらなる取組の強化をされました。私の周りでも、区の簡易耐震診断を検討される声をお聞きするなど、区民の意識の高まりを実感しておりますが、申し込みが急増したことで、診断までかなりの時間をお待たせするケースも生じていると伺っております。こうした機運の高まりの機を逃さず、耐震化に結びつけるため、診断横断のさらなるスピードアップを求めますが、区のご所見を伺います。
断水時のトイレ対策を練馬区民に周知・啓発すべき
次に、断水時のトイレ対策についてです。
災害時に最も困る課題である断水時のトイレ対策についても、しっかりとした事前準備が必要です。今年1月の能登半島地震では、6県で最大137万戸が断水し、飲料水や生活用水が確保できず、トイレなどの衛生環境が悪化いたしました。すでに、区内では上下水道の耐震化工事は、全国的、都内23区内でも60%以上と最も進んでおり、上下水道の断水は区の一部に限定されると、都の試算が出されております。
とはいえ、東京都は一昨年、首都直下型地震の被害想定を更新し、区では令和6年3月に地域防災計画の見直しが行われました。今年3月の私の補正質疑で、下水道被害率を加味した断水時における区内1日当たりのし尿量は約60トンとのことでした。今回の地域防災計画の見直しでは区のライフラインにおける下水道の被害率が約4%となっておりますが、その根拠を伺います。
またこうしたトイレ問題については都市部において居住者が多くいる中、高層マンションの防災対策においても重要です。併せて、区の御所見を伺います。
災害時のトイレ問題については、我が自民党会派が提案しました携帯トイレの備蓄、啓発活動の強化に対して予算化していただきましたが、このトイレの備蓄は万が一のときの衛生面、プライバシーの面からも特に重要であります。断水時においても、トイレを我慢しない状況にしていくためには、携帯トイレの備えと同時に、一度この携帯トイレをご使用いただくことが発災時の生活体験イメージを膨らませる具体的な防災意識の向上につながると実際自宅で携帯トイレを使用した担当職員私自身も大いに感じた次第であります。
日ごろの啓発活動で断水時のトイレ対策として、携帯トイレを自宅で一度使用するというような訓練を促すなど、さらに強く周知啓発していくことが必要と考えますが、区のご見解を伺います。
練馬区の水害対策
次に、水害対策について伺います。
毎年、台風や集中豪雨により、全国各地で甚大な被害が発生しています。特に近年は、地球温暖化の影響もあり、想定を超える豪雨が頻発しています。昨年の台風19号では、練馬区でも多くの被害が発生しました。こうした状況を踏まえ、水害対策の強化が急務であると考えます。
練馬区では、これまでに河川の改修工事や雨水貯留施設の整備など、様々な対策を講じてきましたが、今後もさらに対策を強化していく必要があります。特に、ハード面だけでなく、ソフト面の対策も重要です。例えば、区民への情報提供や避難訓練の実施、地域コミュニティの防災力の向上などが挙げられます。
具体的には、区民への水害リスクの周知徹底や、避難行動要支援者の把握と支援体制の整備、地域防災リーダーの育成などが必要です。また、河川の氾濫を防ぐための治水対策や、雨水の浸透を促進するための都市緑化の推進も重要です。
区の水害対策について、今後どのように取り組んでいくのか、具体的な施策をお聞かせください。
最後に、災害時の情報伝達手段の確保について伺います。
災害時には、正確で迅速な情報伝達が極めて重要です。特に、首都直下型地震や大規模な水害などが発生した場合、通信インフラが寸断される可能性があります。こうした状況に備え、練馬区では、防災行政無線や緊急速報メール、SNSなど、様々な情報伝達手段を確保していますが、さらなる強化が必要です。
例えば、災害時における情報伝達の多重化や、情報の受け手である区民のリテラシー向上、地域コミュニティ内での情報共有体制の整備などが挙げられます。また、特に高齢者や障がい者など、情報弱者への配慮も重要です。具体的には、防災行政無線の設置場所の見直しや、緊急速報メールの配信対象の拡大、地域の防災リーダーによる情報共有の推進などが必要です。
区の災害時の情報伝達手段の強化について、具体的な施策をお聞かせください。
以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
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