第二回定例会 かわすみ雅彦 「現下の社会経済状況について」
私は、自由民主党を代表し一般質問を行います。区長並びに各理事者の誠意ある答弁を期待いたします。
① はじめに、現下の社会 経済状況についてです。
我が国の経済を取り巻く情勢は、コロナ禍の終息とともに、30年間上がらなかった賃金や物価が動き出し、企業の成長期待や投資の見通しも高まる中で、昨年10月、石破内閣が誕生。
直後に行われた衆院選で少数与党となりながらも昨年11月には総合経済対策を打ち出すなど、物価高の克服、持続的な成長に向けた歩みを継続してきたところです。
しかし、今年に入りアメリカで第二次トランプ政権が誕生し、相互関税政策に世界中が翻弄され、緩やかな回復を続けてきた我が国経済も、一部報道によれば、今期の2026年3月期、東証プライム1千社の純利予測は、関税と円高が重荷になり前期比7%減とされ、6年ぶりの減益の見通しです。
中でも我が国の主要産業である自動車をはじめ、鉄鋼、海運の悪化が目立ちますが、一方で金融関連はかなりの高水準になる見込みです。まず、こうした現在の経済・社会状況について、区のご所見を伺います。
トランプ関税による不況リスクが危惧される中、政府は、ガソリン価格引き下げ、電気・ガス料金補助といった物価高対策を打ち出したものの、世論の反対で、大規模な経済対策を盛り込んだ補正予算案の提出は見送られたところです。
今国会は、30年振りとなる少数与党下で、当初予算案が国会で修正されるなど、政府は非常に難しい舵取りを余儀なくされてきました。
この間、物価高騰による国民生活及び経済への悪影響を緩和するため、与野党問わず様々な負担軽減策が浮上しました。
特に、我が党は、消費税減税について「責任政党としてポピュリズムに屈しない」との基本方針で石破総理、党幹事長らが明言する一方、党内では、国民への物価高対策として消費税減税を強く主張するグループもおり、今国会の会期末でもある6月22日までその綱引きが続くと思われます。
また、この会期末当日は都議選の投開票日でもあり、選挙結果次第では、まだまだ波乱含みで余談を許さない状況です。
年金改革関連法案は、厚生年金の積立金からおよそ2兆を5年後の基礎年金の状況を見ながら、活用する年金底上げ策として成立する見込みです。
しかし、この2兆円は最終的には国庫負担金とのことで、その肝心な財源については、議論が先送りされております。
現状では、政府・与党に対する国民の視線は大変厳しいものがあり、例えば、財務省解体デモなど、そうした国民感情が表面化したものであり、我が自民党も、責任ある政権与党として、国民所得向上、経済立て直し対策を、より一層知恵を絞るべきであります。
こうした議論を行う上で問題となるのが、国の財政収支に対する懸念であります。7年度予算の国債発行額は、税収増に伴い、17年ぶりに30兆円を下回ったものの、長年にわたる赤字国債の増発により債務残高の対GDP比は200%を超え、依然として先進国で最悪の状況です。
国は、早期の財政健全化を目指し、基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスの黒字化を実現するとしており、報道によると今般の「骨太の方針」には2025年度から2026年度の黒字化が明記されております。
私は、一部、先程も触れましたが、我が国の債務は多くが円建てであり、G7で最も対外債務比率が低いことなどから当面の財政リスクは少なく、むしろ積極財政により経済成長を優先するべきと考えます。
当然、野放図な歳出拡大、国債発行は慎むべきですが、現下の局面、つまり、上場企業の賃金アップと物価上昇へのデフレからインフレへの移行期間中に、トランプ関税による経済停滞下での財政引き締めは経済を縮小させ、結果、税収減につながる、負のスパイラルに陥る可能性を危惧いたします。
また、基礎年金の底上げや、コメの価格高騰への対応は結果的には、必ず財政出動に繋がりますし、根本的には日本のコメの生産者がしっかりと利益を出せる農業の効率化の実施等、先ずは国民全体の生産性の向上。
更に賃金アップの出来る社会構造改革が必要です。この改革は、我々自民党が、かつて国鉄の民営化や郵政民営化を実施した時と同様、大きな痛みを伴いますが、大ナタを振るう時期に来たと考えます。
短期的には経済成長を優先させ、景気回復を確実なものにした上で、中長期的に財政健全化に取り組まざるを得ないのが実情で、段階的なアプローチが望ましいと考えます。
一方、地方自治体については、原則として赤字債発行が認められておらず、練馬区で現在発行している起債は、全て建設債です。
7年度予算では、新たに93億円の起債発行を予定しており、7年度末の起債残高は、16年ぶりに600億円を超える見込みと伺っています。過去には、人口増加等により公共施設の建設が相次ぎ、起債残高が1,500億円近くまで増えた時期もあったそうですが、近年は500億円台で推移してきたところです。
国の赤字債とは意味合いも規模も異なることは承知していますが、借金は借金であります。学校をはじめ公共施設の改修・改築需要の高まりに加えて、美術館や総合体育館、石神井庁舎など大きなプロジェクトを控えるなか、今後の起債発行額の増大が懸念されます。
金利の動向にも注意が必要です。昨年3月に日銀がマイナス金利を解除して以降、政策金利は段階的に引き上げられてきました。
金利上昇は利払いの増加に繋がり、住宅ローンが上昇。子育て世帯、年金世帯を直撃致します。当然、起債金利も上昇致しますが、直近5年間の推移を伺います。
合わせて、区の今後の起債の活用方針、中長期的な区財政の見通しについてもお答えください。
定例会一般質問 かわすみ雅彦 「現下の社会経済状況について」
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